Fri

25

Mar

2011

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今回の震災では、未だに事態が収束していない東電の福島原発をはじめ、日本のインフラ(特にエネルギー)の脆弱さを改めて思い知らされた結果となりました。先日も取り上げましたが、中国や中東などの新興地域でスマートシティなるエコシティの計画が進んでいます。一口にスマートシティといっても一から一つの都市を作り上げる構想から、既存の都市のエネルギー効率をIT技術で高めるものなど多種多様なのですが、共通しているのは既存エネルギーのインフラに頼らず、自律的なエネルギー供給を目指しエコシティ的な側面を持っていることです。というか目指している内容は、エコシティそのものなのですが。

スマートシティは莫大な投資と多様な技術の結集が必要であり、日本ではどちらかというと先に述べた新興国へのビジネスチャンスという側面でしか話題になってないのが現状です。しかし、もともとエネルギー資源が乏しくしかしエコ技術やIT機器分野では強みを持っている日本でこそ、これらスマートシティ化を長期的視野で進めるべきであり、しかも進められる技術はあるといえます。
莫大な費用が掛かりますが、裏を返せばそれだけの投資需要が生まれることにもなるので、経済効果を期待できる側面はあります。何より今回の震災の最初の政府試算が25兆円!とのニュースが流れましたが、それだけの費用があればスマートシティの一つや二つは簡単に作れることでしょう(代表的なスマートシティ計画のマスダールシティは約2兆円で2015年完成予定)。そして最大の効果はこの先の未来に渡って日本列島に住み続ける我々の子孫のリスクを低減し、次の災害に対する一番の効果的な対策になると言えるのではないでしょうか。


今回の原発事故を鑑みて改めて思ったのは、エネルギー政策の重要さです。目先(2,30年)の経済効率と利権しか頭にない今の政治家と官僚には、この先の数百年に渡る日本列島の存続プランがあるとは思えません。「資源がない日本には原発しかない」と繰り返す、今回の件にまったく懲りていない某政治家の発言などを聞いていると、本当にそのうち日本に住めない日が来てしまうかも知れません。(それも運命だとこの某政治家は言いそうですが、早くこういった政治家が大臣を平気でやっていられる状況を改善しないといけないのですが。。。)

スマートシティは莫大な費用が掛かる分、投資効果もあるでしょうから経済成長の牽引役も期待できます。また日本にはスマートシティに必要な環境技術と人材、企業が揃っています。他にもスマートグリッドなど、スマートシティ建設に必要な要素技術やIT化にも貢献すると思われます。また、日本には世界にも類を見ない高速鉄道網と地下鉄網が既に揃っており、東京圏を始め人口集約型都市のノウハウが蓄積されており、国土の狭い日本はスマート化する費用については有利であると言えるのではないでしょうか。
何よりこの狭い日本列島に末永く子孫が住み続けることが宿命づけられているのが私たち日本人であり、今回の原発事故は1000年に一度だろうが1回の震災で日本の国土が失われる危機感を十分に見せつけられた体験だったのではないでしょうか。確かに莫大な費用が掛かるかも知れませんが、スマートシティのみならず日本列島全体をスマート化するスマート列島(スマートアイランド)構想なるものが必要だと私は考えます。
と、相変わらず暇で退屈なカタールの休日に、日本での震災と原発事故に想いを重ねてこんな構想に耽ってみました。自分の生業でもある設備エンジニアにとってもスマートシティの需要はまたとない食い扶持となるでしょうし、今いる自分の業界にとっても新規市場となることは間違いありません。こんな下心もありますが、今回の震災の復興計画にあたっては是非、利権や目先の短期スパンだけではなく、「国家100年の計」を念頭にしたプランを示して欲しいと思います。この未曾有の震災を「禍を転じて(子孫への)福となす」ためにも、政治家にはリーダーシップを期待したいと思います。その前に選挙が必要かとは思いますが。。。
・(動画)お隣の中東アブダビで進行中のスマートシティ(マスダールシティ)のプロモーションビデオです。


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