Sat

24

Apr

2021

6600万年の革命 (創元SF文庫)

ここ数年ですっかりハードSFの旗手たる感のあるピーター・ワッツの著作である「6600万年の革命」を読了しました。わざわざ書籍で手に入れたのですが、というのもKindleで購入しても必ず買い揃えることになる(もちろん、あとで書籍を購入する前提でも一日も待てないのでKindleで読んでしまう「三体」シリーズなどもあることはありますが。。。)作家の一人になっているので、書評で見つけたから首を長くして待っていました。書評で興味を惹かれた理由の一つに物語の舞台がワームホール構築船(という設定も既にSF離れしたSFという感じで凄い設定なのですが)ということで、これが「ブラインドサイト」「エコープラクシア」と読み続けた長編の後に読んだ「巨星」というピーター・ワッツの短編集の中に出てくる設定と同じということで、実はここら辺は一連の設定や舞台を共通にしたオムニバスのようなもので、原題では”Sunflower cycle”という一連のクロニクルの作品群ということだそうです。

読み始めてすぐに分かるのは最初に読んでいたピーター・ワッツの2つの長編「ブラインドサイト」と「エコープラクシア」と比べると、至って普通の?小説のような語り口とストーリー展開で、一つのSF小説として読みやすいものになっています。それでも設定の説明なしで出てくる用語「スラポン」や「ディアスポラ計画」などが普通に出てくるので、目を放すと何のことやらという展開になりがちなのは一緒ですが、先の2つの長編と比較すると総じて読みやすいSFになっています。

ストーリー展開もワームホール構築船であるエリオフォラを舞台に、AIのチンプと主人公たるサンデイの確執から乗組員の叛乱!?を軸に進んでいくので、分かりやすいのではないのでしょうか。ただし、最後の結末というか叛乱の顛末は何とも(ネタバレになるので控えますが)後味がよいのか悪いのか判然としない終わり方ではあります。まあハードSFの旗手たる著者の作品なので、言いたいことは単なるAIチンプと人類の確執ではなく、気の遠くなるような時間軸を背景にワームホール構築船が進む宇宙と人類の存在意義を問いかけているのが、全編を貫くテーマなのかなとも思います。

巨星 ピーター・ワッツ傑作選 (創元SF文庫)

今回の著作自体は長編というよりかは、薄めの文庫本一冊のボリュームなので、先の長編2つが上下構成だったことと比較すると読みやすいと思いますし、どちらかというとピーター・ワッツの入門編てきな位置づけでよいのかと思います。短編集の「巨星」と合わせて読むと、一人の新鋭たる(という歳でもないようですが)ハードSF作家の著作が楽しめるのではないでしょうか。

しかし、ここ数年(実際には十数年?)すっかり邦訳のうわさもニュースもないスティーブン・バクスターのジーリークロニクルと同じで、ピーター・ワッツの”Sunflower cycle”も継続して邦訳を出版し続けてほしいと願うばかりです(Wikipediaを見た限りでは今のところは短編含めて一応、全て邦訳されているように思えます)。やはり、原著のペーパーバックを読みこなす気力も英語力も当面はなさそうですので。。。


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