Tue

12

Apr

2022

オベリスクの門 (創元SF文庫)

破壊された地球で異能の能力者である「オロジェン」達の物語を描く、ヒューゴー賞受賞シリーズ「第五の季節 〈破壊された地球〉三部作 (創元SF文庫)」の続編(長い説明ですね)である「オベリスクの門 (創元SF文庫)」をKindleで読了しました。正直、前作を読んだのは結構前でしたので、登場人物もすっかり忘れていて思い出すところから始めましたが、本作も前作と同様に語り口が二人称、三人称の使い分けでうまく場面とストーリーの展開を読者に整理?してくれている位置づけです。一見読みづらい感もありますが、慣れてしまえば特に気にならない点ではあります。

 ただ、Amazon購入の際にちらっと読んでしまう講評では、この小説の語り口の読みづらさがハイライトされてしまっているようですが、ここら辺は訳者の趣向もあるので原著を英語で読まない限りは判断が難しいところです。

 それでも唯一、はっきりしているのは(ネタバレになってしまいますので未読のかたはここで一旦、本記事をクローズして欲しいのですが)後半に向けて主人公であるエッスンと探し求めていた娘のナッスンの物語が交差して一つになる場面が、オベリスクの門のキーワードと共にビジュアルに描かれていてなかなか読み応えがあります。「三体」もそうだったのですが、小説としての完成度もさることながら、最近のヒット作は映像化を連想させる壮大なビジュアルシーンが凄いなという印象があります。オベリスクの門を使ってエッスンが滞在している晶洞のコムであるカストリマの危機を救う戦闘シーン!?はまさにそのクライマックスでしょうか。

 

 今思えば前作の「第五の季節」でも、ラストに近いところでのエッスンと守護者達との海洋での戦闘シーンがそれに相当する場面だったかと思います。そして、舞台である「破壊された地球」は全くの異世界ファンタジーの設定かと思っていましたが、どうやら「月」が地球から離脱した!ことが原因で「第五の季節」が周期的に発生していること、オロジェンの力が魔法という言葉で置き換えられていることなど、もしかしたら現設定の地球とも関連しなくもない描写をしながら、最後の第三作である「石の空」へと続くところで終わります。

薔薇の名前〈上〉薔薇の名前〈下〉

 まあ、SFに限らずですが小説というのは人物描写や世界観の説明に描写を使うケースも多いですし、必ずしも相関しないもののその描写があればこそ、ラストやクライマックスの謎解きや設定の奥深さも出てくるのですから、このシリーズの読みにくさについては私個人は全く感じないというのが本音でしょうか。正直、古典的名作である「薔薇の名前〈上〉」や「フーコーの振り子 上 (文春文庫)」など(読了したかどうかも忘れてしまいましたが)は、これとは比較にならない読みにくさと長い長い設定描写があるのですから。。。

 ともかくもまた忘れないうちに早く完結編を読みたいところです!

本作品の評価:3.5

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