Wed

18

Aug

2010

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カタールの一人暮らしでは読書が進むのですが、先日の帰国の際に持って帰った中の一冊で、「時間衝突」という未来SFを読み終えました。時間、時空、宇宙の解釈については下手な物理書よりもSF小説の方が分かりやすいと自分は常々思っているのですが、この小説の解釈には頭をガーンと殴られた位の衝撃と斬新さがありました。

随分前に読んだ小松左京の「果てしなき流れの果てに」を読んだ時も、しばらくは余韻が残るほどの衝撃でしたが、今回の「時間衝突」もそれに勝とも劣らない内容でした。

主軸はタイムマシンやスペースコロニーといったオーソドックスな素材にから成る構成なのですが、物語の筋となる異星人との争いが実は「時間」の衝突だったという飛躍が、しかし違和感なく入ってくる文章力と解釈論が凄いです!また、時空(時間)と生命の不可分な関係やそれによって導きだされる宇宙の定義が、なかなか真実に近いのではと思わせるところも読み応えがあります。唯一時空や宇宙といったテーマを扱うSFにありがちな「超存在」の描写が平凡だったのが残念です。小説全体の流れから考えると、この存在(小説の中では「斜行存在」)の出番は不要だったような感じがします。ラストの描写も余韻が残るというよりかは、もう少し結末を知りたかったというのが本音です。

いづれにしても久々にSFというジャンルの面白さを再認識させてくれた本ということで、星4つ(星5満点中)でしょうか。宇宙や時間論に興味がある方も、一つの解釈論ということで読んでみるのも面白いと思います。

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