Thu
30
Oct
2025
啓蒙本ばかり読んでいた今年後半ですが、少し息抜きにと思ってKindleで選んでみたSF小説です。小松左京とか星新一、筒井康隆といった大御所の邦書SFの他はそんなに沢山読んでいない感じでしたが、本書の著者である春暮 康一氏の著作はデビュー作である「オーラリメーカー」からのファンでしたので、本書も期待して読み始めてみました。結論から言うと読後感含めて全く期待を裏切らないというか、読んでみて本当に良かったという読書の醍醐味を実感できるストーリーかと思います。
ネタバレにならない程度にAmazonにある本書の概要を抜粋すると『【望/のぞむ】は高校天文部の友人の【新/あらた】、大学の研究者仲間の【縁/ゆかり】と、太陽系規模の電波望遠鏡による掃天観測計画を夢想する。それは、後に人類が銀河文明の繁栄に貢献する道へと繋がる第一歩だった。ファーストコンタクトSFの世界水準を軽やかに更新する傑作宇宙探査SF!』とあります。実際には、遠未来と思われるパートと遠過去(と途中で気付くのですが)と思われるパートを含めた3つのパートが交互に織り交ざって進む構成で(最近はこう言った構成の物語がとみに多い気がしますが)、テンポよく読み切れるのではないでしょうか。
ファーストコンタクトものではあるのですが、探索に行く動機が純粋に遠くを観てみたい、時間の果てまで探求し続けたいという誰もが一度は思いを馳せる(多分SF好きの方であれば!?)人間の存在にも関わる根源的な問いから始まっていて、ここら辺は巨匠の小松左京でさえ何とも明示できなかったテーマのような気がしています。そこら辺のテーマをバックに、伏線が収斂していくラストはなかなかの筆致ではないかと思います。
最初にこの著者の何かのSF賞の応募作である「オーラリメーカー」も既に、既存のSFの枠を凌駕していた発想力とスケールでしたので、この延長線上にあるかと思うと不思議ではありません。
途中の色々な異星人の描写やコンタクトも冗長に感じるとの書評もありますが、むしろ各パートのエピソードをスピンオフで読みたいぐらいでしたので、著者の無限の想像力とスケール感に今後も期待できるのではないでしょうか。
なかなかハードSFかつスケールが壮大な邦書のSF作家というのは、古典の大御所を除くとあまり知らないのですが、著者の2作目だった下記の短編集も秀作揃いでしたので、発表されている作品全てが質の高いSF作品であるということでしょうか。
発刊ペースは決して早くない感じですが、是非とも今後の長編の作品も一早く読んでみたい著者です。次回作が待ち遠しいです!







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