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2014

141222_maniranewspaper

刑務所と言えば、東南アジアに限らず外国の刑務所は本当に信じられない状況に驚愕します。これは実は新興国に限らず一部の先進国でもそうなので、文化的なところもあるのかもしれません。ここフィリピンの刑務所の実態も凄まじいものがあり、ホテル顔負けの豪華な収監者の部屋から、麻薬・拳銃の密売と何でもありです。(だそうです。)つい先日も当地の現地日本語新聞である「まにら新聞」で、興味深い記事の特集がありました。記事の全文を次のページ(下の詳細を読むをクリックしてください)に転載させていただきました。
 この記事の刑務所はフィリピンでも歴史があり、メトロマニラ首都圏では一番大きな刑務所であるニュービリビッド刑務所なのですが、記事の実態には日本の常識を遥かに超えた、凄まじいものがあります。(左の写真は、マニラ新聞からで”「犯罪者養成施設」とやゆされるニュービリビッド刑務所内のテニスコート。元下院議員が整備した”とあります
 こちらは今日のまにら新聞のトップ特集記事です。前文を転載させていただきます。元記事のリンクは、こちらとなります。>刑務所内の違法行為:ニュービリビッド刑務所に16年間収監された日本人男性に塀の中の特殊事情聴く(2014年12月22日)

「塀の中」とはとても思えない一部収監者の豪華な生活ぶりや、所内での違法薬物密売などが問題になっているニュービリビッド刑務所(首都圏モンテンルパ市)。犯罪者の更生を目的にした刑務所で、違法行為や規則違反が横行、「更正施設ではなく、犯罪者養成施設」とやゆされるのはなぜか。1990年代半ばから2010年まで約16年間、同刑務所に収監された日本人男性(58)に、内部の特殊事情を聴いた。

 ?豪華な監房を見たことは?

 男性 覚せい剤取引で死刑判決を受けた中国人数人が、居間、寝室、シャワー室のある監房に住んでいた。エアコン付きの寝室には大型テレビがあり、サッカー・ワールドカップがフランスで開かれた時は、生中継をテレビ観戦させてもらった。幼児レイプ事件で終身刑判決を受けた元下院議員も、刑務所の敷地内にテニスコートやクラブハウス、体育館を建てた。基本的に議員専用だったが、空き時間には一般収監者も利用できた。

 ?一部収監者が特別待遇を享受できる理由は?

 同 予算不足のため、収監者用の食費などが絶対的に足らない。不足分を補うため、外国人や富裕な比人にVIP待遇を与えて、監房の部屋代や電気代などを徴収している。また、VIPには身の回りを世話をする一般収監者数人が付いて、引き換えにVIPは付き人の食費などを負担する。外国人は自動的にVIP待遇となり、私も個室の敷金7千ペソ、月々の家賃500ペソ、月額700ペソの電気代を払っていた。待遇付与や部屋代徴収などを管理しているのは、マニラ市拘置所出身者らで構成される「バタン・シティー・ジェイル(BCJ)」などの収監者自治組織。大きな組織のメンバーは1千人を超え、VIPの部屋代などの一部はこれら組織を通じて刑務官にも流れていた。

 ?大型テレビやエアコン、拳銃などを持ち込む方法は?

 同 比較的大きな物は、収監者自治組織が刑務官に連絡を取り、持ち込む日を事前に伝える。深夜、刑務官が面会人用のゲートを開けて入れさせる。刑務官に手渡す賄賂の相場は、テレビやエアコンなど電化製品一式で最低5万ペソだった。私も携帯電話持ち込みのため3千ペソを払い、刑務官自身が監房まで届けてくれた。拳銃も同様の方法で持ち込み可能で、牢名主クラスの収監者は拳銃を持っていた。

 ?所内では比較的自由な生活ができるのか?

 同 日本に拳銃を密輸して逮捕され、府中刑務所で6年間服役した際、懲罰房に3回入れられたという比人収監者がいた。この比人は「府中刑務所に6年間入れられるより、ニュービリビッド刑務所に20年入っていた方がいい」と話していた。理由は「(塀の)外と変わらない生活ができる」だった。確かに、外へ出られない不自由はあるが、金さえあれば所内で何でも手に入る。会いたい人がいれば、所内の監房まで来てもらえる。私自身も入所直後、刑務官2人と一緒に刑務所から出て、街中のビアガーデンで午前1時ごろまで飲んだことが数度ある。

 ?覚せい剤密造・密売は?

 同 外から持ち込む手口は、食肉加工したニワトリの肛門や面会人の携帯品に紛れ込ませる方法が一般的。刑務官が覚せい剤1キロを持ち込もうとして、同僚につかまったこともあった。入所時、覚せい剤は1グラム500ペソで取り引きされ、(16年後の)出所時には2千ペソになっていた。大麻は紙巻きにされた状態で、所内のたばこ屋で売られていた。入所時は1本10ペソ、出所時は30ペソだった。覚せい剤密造は、中国人収監者がやっていた。密造を手伝っていた日系人収監者がいて、「精製する時に強い臭いが外に漏れて困る」、「できた覚せい剤は茶色で、なかなか白くならない」とぼやいていた。原料は砂糖と混ぜるなどして所内に持ち込み、密造された覚せい剤は、面会人を装った運び屋に持ち出させていた。面会人が所外へ出る時は携行品の検査がないためだ。

 ?中国人収監者は所外での覚せい剤取引を指示しているのか?

 同 1990年代後半、日本の警察、税関関係者が面会に来たことがある。中国人収監者が日本への覚せい剤密輸を指示しているとの情報があり、捜査しているとのことだった。これら中国人は(香港を拠点にする犯罪組織の)14Kの構成員で、実際に所外での覚せい剤取引を仕切っていた。

 ?犯罪者を更正させる、普通の刑務所に変えるにはどうすればよい?

 同 刑務官の再教育が必要だが、1万〜数万ペソの月給では賄賂の誘惑に勝てないだろう。収監者の人数に比べて、刑務官が圧倒的に少ないことも問題。所内の秩序維持は収監者自治組織に依存し、大きな暴動が起きないのもこれら組織があるため。持ちつ持たれつで、刑務官だけでは暴動やトラブルをとても抑えきれない。組織のおきては絶対で、夫らに会いに来た女性の面会人に、他の収監者が声を掛けただけで、組織のメンバーに袋だたきにされる。ある意味、塀の外より秩序が保たれている

 元収監者の日本人男性は94年4月、ビサヤ地方西ネグロス州で、大麻1・6キロを所持した疑いで逮捕された。公判では、「事件は捜査官らによるでっち上げ」と無実を訴えたが認められず、同年12月に死刑判決を受けた。2003年10月の最高裁判決で終身刑に減刑された後、10年12月、大統領恩赦(10年4月付)で出所、日本へ帰国した。現在は東海地方の人材派遣会社勤務。同僚の多くは比人で、刑務所で習得したフィリピン語を生かした仕事を続けている。(酒井善彦)

 こんな話を聞いても信じられないところもありますが、最後の太字の部分が全てを物語っており、「賄賂が悪」だけでは話が片付かない、複雑なものがあります。ある意味、現状が一番秩序が保たれていると皆が考えている以上は、なかなか改善されないでしょう。ここら辺も社会全体が裕福になる必要性がいかに大事かを考えさせられます。刑務所の実態の話だけを聞いて、びっくりしたり憤慨したりだけでは済まない、社会事情や構築されてしまっている既存のシステムの根の深さを考えさせられた記事でした!


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