Thu

07

Feb

2008

ようやく正式に国交省から、建築設備士に一級建築士の受験資格を付与する旨の通達?が出たようです。この件は先の社会資本整備審議会建築分科会で既定路線とはなっていましたが、これでようやく今年の試験勉強を建築設備士の皆さんは始められるということになります。そうした中で、構造については構造設計一級建築士の試験中止が決まったとのことです。

これらの一件は例の姉歯事件に端を発していますが、設備業界にとっては、資格と社会的位置付けを見直す絶好の機会を与えてくれた(はず?)のでした。結論から言えば、設備設計一級建築士の創設が決まったものの、実質的には一級建築士の既存権利が確保され、設備業界の地位向上などどこ吹く風といった感じがします。そもそも姉歯事件をきっかけにした資格の見直しには、下記の内容を盛り込むことが大原則だったと思います。

1.実質的な業務に携わり力のある人に資格を付与する。
2.一般の人にも分かり易い資格体系とする。

中でも2.は重要で、設備という仕事が社会的に認知され、結果的には地位向上にもつながることになると考えられます。しかしながら、現状は一級建築士の制度に組み込まれ、建築設備士の資格の存在意義が問われる結論となってしまったのは否めません。
とまあ、あまり批判めいたり後ろ向きな考えは好まないのですが、一連の資格騒動を通じて業界の末端に携わる者として感じたのは、設備業界の政治力のパワーの無さと一般の人たちとの認識の乖離です。エンジニアの業界なので、必要の是非はありますが、業界の地位向上やPRという観点では、必要悪というか無いと困るのも政治なのかと思わざるを得ませんでした。

蛇足ですが、資格取得については脅迫観念に近い想いがかつてあった自分ですので、幸いにも両資格ともにとっくの昔に取得はしています。その意味では、高みの見物の感があったのですが、今後、建築設備士が廃止になるなどの憂き目にあった場合には、資格取得にかかった時間や少なからぬ費用を思うと
やりきれない感はあります。設備業界の今後の人材獲得や地位向上の観点からも、今後とも資格については注目していきたいと思います。


この記事をシェアする

ディスカッション

コメントはまだありません

コメントはお気軽にどうぞ

※メールアドレスは公開されませんのでご安心ください。


This site is protected by reCAPTCHA and the GooglePrivacy Policy and Terms of Service apply.

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。

”ところによりエンジニア”