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16

May

2022

デューン 砂の惑星〔新訳版〕 上 デューン・シリーズ (ハヤカワ文庫SF)

昨年末に映画を観てから、何とか読もうかと思っていた原作ですが、通販で新訳の文庫版を手に入れてからあっという間に読了してしまいました。この「砂の惑星」ですが、SFの古典名作ということもあり私も小さい頃から図書館のSF文庫コーナーにずらりと並んでいたのを覚えています。当時は小さかったこともあり、こんな長い長編はとても読めない(し読む気にもならなかった)ということで、題名だけは知っていたものの壮年に至る今日まで原作は手付かずでした。

 随分と昔の最初の映画化作品はスターウォーズの陰に隠れてしまった作品!?のようなイメージもあり、こちらも全く観る機会がなかったのですが、昨年に映画化されて年末にプライムで観た時の印象は本当に面白かったので、是非今回こそは原作もということで、読了した次第です。新訳シリーズということで、読み易くなっているという講評も多いのでその通りなのでしょうか。あっという間にその独特の世界観に引き込まれて行ってしまいます。

 映画では全くもってストーリーとしては途中で終わった感があったのですが、原作はもちろんそんなこともなく、きちんと皇帝との決着まで着くところが描かれています。感覚的には映画化されている部分は半分にもならないところなのでしょうが、砂の惑星のフレメンの文化や規律、そして宇宙規模?で世代に渡って陰謀を張り巡らしているポールの母であるジェシカもその一員でもあるベネ・ゲゼリットの存在、宇宙の航路を掌握しているギルドなどなど風呂敷は大きく、実際のところ3巻でも収まらないのではと期待が沸く展開です。

 ということもあってか、最後の下巻で皇帝とハルコネン男爵が惑星アラキスに乗り込んできて直接対決するところまでで、残りの項数がもう僅かということでラストの展開はあっけなさ過ぎた感があります。正直、最後の対決に至るまでのポールとジェシカがフレメンの社会に溶け込んでいく過程などなどが丁寧に描かれている反面、帝国との対決がこれだけかという残念感は否めないところです。おそらくは著者が描きたかった前述のフレメン側の描写が十分過ぎたというところなのでしょうか。

 ラストのあっけなさはあるものの、それがこの名作の面白さを損なっている訳でもありませんので、十分に楽しめるSF古典名作といったところでしょうか。この砂の惑星シリーズですが、新訳されたのは本伝?とも言える最初の3巻のみのようで、残りのシリーズはAmazonでも入手が難しい感じです。書評によると後日譚のようなのですが、どうにも作品毎に趣向が変わるようで、ちょっとこのまま続きも読み尽くすという感じにならないところは、未だに古典名作の寄り付き難さがあるのかも知れません。

 是非、残りのシリーズも新訳で再販して欲しいところです。

 新訳された最初の「砂の惑星」を含めると早川書房から刊行されている全シリーズは下記の通り全部で6シーズンで16冊!ということで、やっぱり大作です。。。この先、全部読了できるのかは自信はありません。

本作品の評価:4

※せっかくですので全シリーズのリンク(説明の出典は全てWikipedia「デューン (小説)」からです)を貼っておきます。

『デューン砂の惑星』(“Dune”:1965年)

デューン 砂の惑星〔新訳版〕 上 デューン・シリーズ (ハヤカワ文庫SF)デューン 砂の惑星〔新訳版〕 中 デューン・シリーズ (ハヤカワ文庫SF)デューン 砂の惑星〔新訳版〕 下 デューン・シリーズ (ハヤカワ文庫SF)

『デューン砂漠の救世主』(“Dune Messiah”:1969年)[編集]

ムアッディブことポウル・アトレイデが帝座について12年。メランジを掌握するポウルに対し、ベネ・ゲセリット、宇宙協会、ベネ・トライラックスの旧勢力は協働して陰謀を巡らせる。ポウル自身もまた、絶望の未来の予視に悩まされ、次第にそれに束縛されるようになっていく。

デューン 砂漠の救世主 (ハヤカワ文庫 SF 100)

『デューン砂丘の子供たち』(“Children of Dune”:1976年)[編集]

ポウルが砂漠に去ってから10年。引き続くテラフォーミングによってアラキスは緑の惑星に姿を替えつつあった。ポウルの遺児であるレトとガニマは、惑星の緑化によって砂虫がいなくなりメランジが産出されなくなる危険に気づく。だがその双子を、再び帝座へ返り咲かんとするコリノ家の陰謀が狙っていた。

デューン砂丘の子供たち〈1〉 (1978年) (ハヤカワ文庫―SF)デューン砂丘の子供たち〈2〉 (1979年) (ハヤカワ文庫―SF)デューン砂丘の子供たち (3) (ハヤカワ文庫 SF (329))

『デューン砂漠の神皇帝』(“God Emperor of Dune”:1981年)[編集]

レト二世の即位から3500年、宇宙は「レトの平和」と呼ばれる平和と停滞を強いられ、アラキスは完全に水と緑の惑星と化していた。「神皇帝」レト二世は半ば砂虫と化しており、その人間性は失われつつあった。レトの遠大な人類救済計画「黄金の道」と、イックスの陰謀が交錯する。

デューン砂漠の神皇帝 1 (ハヤカワ文庫 SF 543)デューン砂漠の神皇帝 2 (ハヤカワ文庫 SF 545)デューン砂漠の神皇帝 3 (ハヤカワ文庫 SF 549)

『デューン砂漠の異端者』(“Heretics of Dune”:1984年)[編集]

レト二世の崩御から1500年。飢饉と大離散を経た旧帝国に、外宇宙から新たな勢力が帰還してくる。そして再び砂虫が跳梁する砂の惑星となっていたアラキス=ラキスに、砂虫を操ることのできる少女が現れる。

デューン 砂漠の異端者 (1) (ハヤカワ文庫 SF (598))デューン 砂漠の異端者 (2) (ハヤカワ文庫 SF (604))デューン砂漠の異端者 3 (ハヤカワ文庫 SF 612)

『デューン砂丘の大聖堂』(“Chapterhouse : Dune”:1985年)[編集]

「誇りある女たち」の攻撃によってラキスは破壊された。退避させた砂虫によって、ベネ・ゲセリットの大聖堂惑星は第二のデューンになろうとしていた。だがベネ・ゲセリットは次第に誇りある女たちに追い詰められる。

デューン 砂丘の大聖堂〈1〉 (ハヤカワ文庫SF)デューン 砂丘の大聖堂〈2〉 (ハヤカワ文庫SF)デューン 砂丘の大聖堂〈3〉 (ハヤカワ文庫SF)

 


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