Sat

23

Jun

2018

渋谷ではたらく社長の告白〈新装版〉

日本人会の図書館にあったこの本を立ち読みして止まらなくなり、新規入荷で借りれなかったので家に帰ってすぐにKindleで購入してみました。めったにKindleで書籍は購入しないのですが、どうしても続きが読みたくなったので、衝動的に買ってしまいました。あっという間に読破してしまったのですが、というのも名前だけは皆聞いたことがあるITベンチャーの社長の藤田晋氏の半生(というほどの歳でもないのですが)が本人の独白調でつづられていて、ベンチャー企業立上げの経緯なども物語として面白かったので、あっという間に読めてしまいます。しかし、この藤田晋氏ですが、サイバーエージェントという今となってはベンチャーというよりは新興IT企業では大手だと思うのですが、その企業の創設者であり現役の社長でもあるのですが、なんと歳がほとんど同じ同年代だったというのは初めて知りました。こちらの著作にも登場するホリエモン(堀江貴文氏)も同年代とは知っていましたが、藤田晋氏も同じだったとはちょっと驚きました。そんな縁!?もあって、興味深く読んだ本著作ですが、てっきりホリエモンと同じ理系でPCオタクと勝手に想像していた藤田晋氏が文系で、サイバーエージェントもPCが詳しかったから始めたわけではないというのを知って、二重に驚いてしまいました!
 藤田晋氏が大学生からのめり込むように仕事をする様は、同年代である自分も社会人になったばかりの頃は死ぬほど働いたなーと勝手に共感していましたが、わずか1年後には自分の会社を立ち上げて、二十代で上場し、30前には早くも会社売却の岐路に立たされるというストーリーには、さすがに同年代でもこれだけの経験した人は滅多にいないのだろうと感心!?しながら読み進めてしまいました。ご本人も赤裸々に本著作で語っているように、決して順風満帆ではなくむしろ会社設立の時から、どうしても結果として恩人を裏切らなければならなくなってしまう立場になっていたり、株式上場後もリーマンショックやらで会社売却の瀬戸際になったりと、本当に大変な過程だったのが分かります。それでもご本人の性格もあるのか、悲壮感というよりかは、いつでも全力でことにあたっていて、その結果として道が開けているのだなというのが伝わって、読んでいてこっちも人生が楽しく感じられる本になっています。もちろん、私と同年代なので、経営者としてはこの先もまだまだ時間がある方でしょうし、書籍に掛かれていた会社の規模の目標も、現時点でほぼ達成されていると思われるのは、時流に乗っている領域とはいえ既に実績としては十分な感じがします。それでもモチベーションを切らずに前に進んでいるのは「21世紀を代表する会社をつくる」という人生の目標が揺るぎないからなのでしょうか。
 ご本人も書いているように、藤田晋氏もサイバーエージェントという会社自体もこれだけの短期間で、これ程の浮き沈みの経験と歴史を辿るのは昨今の時世とネット産業という環境もあるのでしょうが、今後は他の業界にも同様なことが言えるのではないのでしょうか。この著作全体が印象深いのですが、敢えて一番印象に残った箇所を挙げるとすると、著作の最後の方で「それは、見渡す限りの荒野に誰よりも早くたどり着き、一から苗を植えるような作業でした。そして、どんな実が生るのかを知る者は誰もいませんでした。(中略)しかし、私たちはそこをフロンティアを信じ、それだけを支えに数年間、辛い日々を耐えてきたのです。それらがようやく実をつけ始めたのです。」の下りでしょうか。
 すっかり藤田晋氏のファンになってしまいましたが、サイバーエージェントという会社と接点が全くなさそうな私の業界も、今後は競合!?になる日が来るやも知れません。そうなった時に、これだけの経験を短期間で積んで、こんな若い社長に率いられたエネルギッシュな会社に勝てるのかと、想像だけしてみても空恐ろしくなってしまいました。何が起きてもおかしくない程の変化の世紀に生きているわけですから、自分も今少し頑張ろうと久々に思わせてくれた書籍でした。


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