Wed

04

Aug

2010

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日本に帰国した時に「生きてこそ」という映画化版のDVDを購入していたのですが、映画を観る前にこの本の方を先に読み終えました。実際にアンデスで起きた飛行機事故の生存者の一人であるナンド・バラードの回顧録として書かれていますが、ノンフィクションでありながら並の小説以上の迫力と文章力で、最後まで一気に読み終えました。そもそもこの本に興味を持ったきっかけは、海外赴任で以前とは考えられない頻度で飛行機に乗るようになったため、何気なく飛行機事故の記事をネットで探していたときに偶然、目に止まった事故の一つでした。


この本の後半は自力で5,000mを超すアンデス山脈を何の装備も持たずに踏破し、助けを求める10日間が描かれています。読む前は飢えを凌ぐために人肉を食したことばかりにあったのですが、本を読む中では何のことはない生きるために誰もが選択せざるを得ないことというのが、自然に理解できます。それよりは、死を覚悟した上であえて僅かな望みに賭けて登山に挑む著者達の決断に至る過程、死を間近に感じながらも生をこれまでになく意識する過程などが、当然のことですが、経験者でないと語れない説得力のある文章で、読者を唸らせます。自分が何より感慨深く思ったのは、最後に著者が遭難の経験を講演するに至る中で、何故自分だけがこんな経験をしなければならないのかと自問し続けた結果、これがこそが自分の人生だったと、また他の誰もがそれぞれに自分の”アンデス”を背負って生きていると分かるところが、一番参考になりました。

人生で読書を通して色々と本から教わることや本で勇気づけられることが多いですが、この本は間違いなくそんな本の一冊だと思います。是非読んでみてください!


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