Thu

17

Feb

2011

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いわずと知れたロバート・A・ハインラインの名作にして古典ということですが、私は今回初めて読みました。最近はいわゆるハードSFばかりを読んでいたため、SFとはいってもエンターテイメント小説である本書には最初戸惑いましたが、主人公と猫とのやりとり全編につらぬかれた楽観的な世界観に、楽しく最後まで一気に読めます。ハインラインらしい希望と未来への期待が込められている、読後感がよい素晴らしい小説ですね。本や映画はやはり終わった後に気持ちがよくなれることが一つの目的でもありますから。

SFらしくない本書ですが、話の節々に出てくる「六週間戦争」なる核戦争があったことを匂わせる記述や汚染の状況、冷凍睡眠(コールドスリープ)やタイムマシンの発明などはSF小説ならではのアイテムです。それでもこの本は技術屋である主人公と飼い猫のピートが、いかに人生を前向きにアグレッシブに勝ち取っていくという冒険小説でしょうか。構成も分かりやすく短編小説みたいなボリューム感で読めてしまいますので、SFファン以外にもお勧めです。仕事でくたびれている時とか殺伐とした雰囲気の時などに読むと、かなり癒されるというか人生も捨てたもんでないと思わせてくれますね。


しかし、本編の日本語訳は問題ないのですが書籍の帯のキャッチコピーが今ひとつですね。別に猫好きであろうがなかろうが、この本の偉大な価値には大して関係ないと思うのですが、もっと適切なコピーを思いつかないのでしょうか。「猫を愛するすべてのひとたちに」というのも分からなくないのですが、猫好きのためだけの小説ではないのですから。例えば「閉塞した現代に送る最高のSF冒険小説!」ぐらいの方がまだしっくりときます(と思うのは私だけでしょうか。。。)。


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