月別アーカイブ: 2018年9月

Tue

11

Sep

2018

全滅領域サザーンリーチ-ANNIHILATION

先に読了したブラインドサイトに引き続きSFです。サザーン・リーチというエリアXに関しての三部作ということで、これはその一作目の「全滅領域(原題:ANNIHILATION)」で、エリアXへ潜入する調査隊の話です。ジャンルはてっきりSFと思って買ったのですが、読んだ後の巻末の解説によると「ニュー・ウィアード(New Weird)」という新しいジャンルで、Weird自体の意味が載っていない英語辞書もあるのですが、「奇妙な」という意味のようです。そう言われてみるとハヤカワ文庫なのですが、水色の表紙のハヤカワSF文庫ではないところからも、SFとは一線を画す位置づけになっている感じです。確かに読後感はなんだかモヤモヤしてスッキリと謎が解けない感じの反面、最後まで引っ張る構成と独自の世界観は凄いものがあります。
 主人公である生物学者の主観で語られる日誌を読んでいることが途中から分かるのですが、主人公が最後にどうなったのかはあくまで不明瞭なままで、イコール物語の世界観のキーでもあるエリアXと監視機構も正体不明のまま終わってしまいます。それでいて、全体として何かに対する不安感というか恐怖が貫かれており、SFと言うよりかは、未知へのホラーといった小説でしょうか。これがいわゆる「ニュー・ウィアード」なるジャンルなのかも知れません。
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Wed

05

Sep

2018

ネットの書評か何かで風変わりなハードSF!?ということで、興味を持ったので夏休みの帰省時に購入した久しぶりのSF小説です。ファーストコンタクトものということで、導入部は2回の無人探査によるコンタクトが失敗の後に、「第三波」と称する友人の主人公たちの宇宙船が異星人と思われる船(建造物?)にコンタクトを試みるところから始まります。異質なのがその乗組員達で、主人公と思われる大脳を切除した統合者、多重人格の学者、生物学者に女性の軍人、それとリーダー格の吸血鬼!からなるメンバーです。最初は何かのコメディかと思いきや、これらの人物像の裏付けがきちんと文中で説明されており、リーダーとなっている吸血鬼は復活種?ということで、人類の手で蘇らせた古代のホモサピエンスの亜種という立派な位置付けとなっており、人類より知性や判断力が優れているという設定になっています。多重人格もこの時代(世界)では、一つの立派な固有人格として認知されていて、かつて精神病扱いされていた昔の世紀とは異なる人物として描写されています。何より大脳切除した主人公が、その理由ゆえにこれらのメンバーをモニターするプロフェッショナルの位置づけで搭乗しており、この主人公の視点で物語が進められます。
 上下巻からなる長編なのですが、登場人物は回想場面以外ではこの乗組員だけで終わるのですが、不思議に間延びせずに一気に読んでしまいました。全体的に描写が抽象的ではあるのですが、吸血鬼もツールとして使役している?ほど発達したと思われる人類社会の世界観が背景にあって、それだけの人類でも持て余している更に高度な異星人とのコンタクトというシチュエーションが、読むものを惹きつけるのかと思います。
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