Sun

31

Mar

2019

究極の”シチュエーションSF!”「パインズー美しい地獄ー」

パインズ ―美しい地獄―

こちらのパインズも年末年始の帰省時に購入しておいた書籍の一つですが、実は書評でミステリアスなシチュエーションでラストのどんでん返しがあるということで、非常に楽しみに読み始めました。導入はアメリカのとある田舎町で主人公が交通事故から目覚めるところから始まります。そして、その田舎町であるパインズから外部との連絡が取れず逆に外部からも彼の消息が掴めなくなっているというのが、町の中からと外からの描写で進んでいきます。ここら辺、何か昔に観たようなドラマのシチュエーションでもあるのですが、途中で何やら違うぞというのが、同じくパインズから出られなくなり潜伏しているもう一人の女性が主人公とは違う時間軸ということで、何やら時間の進み方がおかしくなるという要素もあるのが示唆されます。そんな中で、その女性と脱出を試みる過程で、脱出者を血祭りに上げるといういびつな町の秩序から、カルト集団なのかという示唆もあり、本当にこの町の存在や外部との関りがさっぱり予想できずに進んでいきます。
 そして、とうとう主人公が町と外部とを隔てるフェンスに辿り着くにあたり、高圧線で外部と遮断されている境界が明らかになり、やっぱりこの町は何らかの目的で意図的に隔絶されているのが分かってきます。それでもこのパインズの意図が分からないまま進むのですが、周囲を崖で囲まれている町から脱出する際に崖を超える逃避行の中で、得体の知れない怪物が出てきて、主人公はそれらとも闘いながら逃避行を続けます。その怪物の存在が、これまた現代の常軌を逸しており、SF要素を予想させつつ最近見た三部作映画のメイズランナーのようなシチュエーションなのかとも予想させます(結果的にこの予想が大分近い予想ではあったのですが。。。)※ちなみに「続きを読む」で結末に触れていますので、この楽しいSFの読書の楽しみを取っておきたい方は、先に本書を読むことをお勧めします!
 という感じで、単なる現代サスペンスというよりかは、色々な結果を予想させるSF要素も絡み、本当に最後までパインズの存在と目的が明かされないまま、読者も余程のことがない限りラストは想像できないのではないでしょうか。怪物を何とか退治した主人公が辿り着く施設は、近代的な監視設備と過去の年代も含む不思議なカプセル、そして膨大な資材と食料のストック施設です。ここまでくれば何とか勘の良い読者は気付くのかもそれませんが、私は主人公が影の町の指導者?たる精神科医のジェンキンスがパインズの外にある最初の町の廃墟に連れて行くまで何だか分かりませんでした。
 そこでパインズに連れてこられた人々の時間軸のずれ、得体の知れない怪物の正体と全てが明かされる中で、パインズ自体の存在の衝撃的な意味が明かされるのですが、人類が怪物に変貌するのも、一昔前にあったアフターマンという図鑑を思い出すとあながち突拍子もないことでもないかも知れません。もちろんこのパインズがタイムカプセルとして2千年後に存在するというシチュエーションは、細かい突っ込みどころを挙げればきりがありませんが、別にハードSFを期待して読んでいるわけでもなく、一つのアイデアとしてのシチュエーションの設定なのですから、そちらの方がよほど本質で大事なのではないでしょうか。そんな発想を思いついた著者はやはりさすがですし、読み物として最後まで飽きさせない時点で、一つのSFとして十分に秀逸な作品だと思います。実際に資材を2千年間都合よく保存できるかとか、外部と隔絶させられているとはいえ、本当に町の住民を騙し続けられるのか、人類があんな姿に進化するのかなど、突っ込みは脇においておいて、そんなシチュエーションの中で主人公が置かれた立場を振り返ると、おおっーという面白さとシチュエーションの設定のアイデアが際立つ作品なのだと思います。
 最近の海外小説はどうも3部作構成&映画化が定番ですが、これもまさか続きがあるのかと改めてAmazonを見てみると、なんときちんと3部作になっていました!そして、AmazonPriceではシーズン2まででドラマ化までされています。さすがにドラマまで手が回りませんが、次の帰省時に残りの2部作を購入するのは言うまでもありません。しかし、これだけインパクトある1部からどうやって3部作まで持っていくのかは、読んでからのお楽しみにしたいと思います!


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