月別アーカイブ: 2018年4月

Thu

26

Apr

2018

これが原点!?「遠い山なみの光」

先日の「忘れられた巨人」に引き続いて読んだ見たのがカズオ・イシグロ氏の長編デビュー作である本書「遠い山並みの光」です。ほとんど逆に辿って読み進めていましたが、ようやくデビュー作を読むことができました。イシグロ氏の出身である長崎と英国を舞台に、主人公の女性の回想にて語られるスタイルは、その後の作品の原型なのだなと改めて思わせます。戦後の復興期に生きた人々の苦悩がありつつも最後はどちらかというと希望(2人目の娘であるニキへの期待!?)の方に振れて終わる本書ですが、全体としてはやはり他の作品にも感じた一種の寂寥感が滲み出る作品かなと思います。
 語られる回想自体は、主人公である佐知子が最初の子供を身ごもっている時に(この子供は長じて自殺してしまうのが冒頭で語られているのですが)、出会った母娘の描写を中心に戦後の長崎で大きなパラダイムシフトを経験せざるを得なかった日本の人々のストーリーが描かれています。その中で、全体を通じて佐知子自身の想いや考えは抽象的にしか語られないのですが、彼女が思いだしているそれらの回想シーンを通じて、彼女の現在の苦悩や過去の後悔が間接的に描写されているといった感じになっています。
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Sun

22

Apr

2018

怪獣映画の王道!?RAMPAGE

時間潰しの必要性が出てしまったので、下の子供と一緒にまたまた1Utamaのシネコンに映画を観に行きました。どうせ観るならAvengers の最新作であるInfinity Warを観たかったのですが、ちょうど来週からだったので、消去法でこのRAMPAGE (ランペイジ)にしてみました。題名(英語で大暴れの意味)からも広告からも分かりやすい怪獣が大暴れする内容でしたでしょうから、下の子供にも無難だろうという感じでした。今回のシネコンはイオンがある棟にある別のシアターでしたが、IMAXにも関わらず2人で1,000円しない値段です。東南アジアの映画代は本当に安いです。このRAMPAGE ですが、主人公は最近のアクション映画ではすっかりお馴染みとなったドウェイン・ジョンソンですが、大抵の役柄を無難に演じられるかつてのシュワちゃんより人気が出そうな役者さんです。私も先日に飛行機で観たジュマンジ以来、すっかりファンになってしまいました。
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Wed

18

Apr

2018

現代の民族問題!?「忘れられた巨人」

忘れられた巨人 (ハヤカワepi文庫)

先にノーベル文学賞受賞のニュースが世間をにぎわしたカズオ・イシグロ氏の最新作になりますが、読みたいと思っていてようやく春休みの帰国時に書籍を手に入れましたので、早速読んで読了したところです。
 読み始めのとっつき易さと読後の寂寥感は、他の過去作品と同様に素晴らしい限りですが、2015年に発表されたというこの作品、本当に当時から今に続く現代の最大の問題でもある世界の民族問題(移民問題)の本質を的確に捉えていて、この作品なども先のノーベル文学賞の受賞の大きな要因になったのではと改めて思わなくもありません。アーサー王没後のイングランドが舞台ですが、アーサー王は単語は聞いたことはあるものの、どこの人でどの時代の人物かというのは、とんと理解がありませんでした。本書では、背景がブリトン人とサクソン人という2つの民族の抗争期でありつつも物語はその2つの民族が小康状態で共存している状態から始まります。
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Mon

02

Apr

2018

宇宙に外側はあるか?

去年から何冊か宇宙論の書籍を読む機会がありましたが、最新宇宙論はどれも興味深い反面、やはり内容はどれも似たような内容になりがちで、最近は若干食傷気味な読了感でした。そんな中で、あまり期待しないで読み始めた本書「宇宙に外側はあるか」でしたが、最新の宇宙論の解説を分かり易くしつつも、切り口が異なり読んでいる最中も夢中になってしまいました。というのも、どうしても宇宙論は物理学的切り口が主体となりがちで(当然のことだとは思いますが)、我々のような一般人が素朴に知りたい疑問とはかけ離れていく感じが否めませんでした。私が宇宙論で大好きな「眠れなくなる」の佐藤勝彦先生の書籍でさえ、その傾向はあります。そんな中で本書は、物理をさっぱり分かっていない!?我々のような一般人が知りたいこと、まさに「宇宙に外側はあるか?」そのものなのですが、その答えに大分肉薄しているように思えます。
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